SAMYANGの格安CINEレンズ「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」をレビュー

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SAMYANGの格安CINEレンズ「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」をレビューします。カメラはα7RIIIでSlog2です。格安のSAMYANGシネレンズT1.5の評価・評判や欠点が気になっている人は参考ください。

たった5万円ぐらいでシネレンズを体験できます。フォーカスリングを回すと映像も動いてしまう(拡大縮小する)ことが残念です。

元がスチールレンズなので静止画も綺麗に撮影できます。

 

SAMYANG(サムヤン)格安のシネレンズシリーズとは

格安のシネレンズシリーズで有名なSAMYANG(サムヤン)。韓国の光学レンズメーカー三洋オプティクスのブランドです。映画撮影用のシネレンズはとても高く数十万円~数百万円します。個人でおいそれと購入できる物ではありません。

数年前にSAMYANGから、従来の1/10程度ともいえるほど安い価格でCINEレンズシリーズが発売されました。500$ぐらいであり個人でも気軽に?購入できる価格です。SAMYANGのシネレンズなら、従来のシネレンズ1本に満たない価格で35mm / 50mm / 85mmとCINEレンズを揃えることだってできます。

一眼レフに装着するは一般的なスチールレンズ(動画も撮影できますが)と、シネレンズの違いは何でしょうか。わかりやすい違いは、F値とT値です。スチールレンズの絞りはF値、シネレンズの絞りはT値になります。

F値とT値の違いは、F値はレンズの集点距離と絞りの口径との関係を表したもので、F値を合わせればどのレンズでも計算上は被写界深度が同一になります。T値はレンズに入る光量を表したもので、T値を合わせればどのレンズでも同じ光量で撮影できます。

F値の場合はレンズによって明るさが変わってしまうのですが、シネレンズならレンズを交換してもT値が同じなら、同じ明るさで撮影可能です。さらにシネレンズはフォーカスリングや絞りリングの可動範囲が大きく滑らかです。動画撮影に最適なレンズであるといえます。

今回「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」を購入しました。SAMYANGの格安CINEレンズ「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」は、なぜそんなに安いのでしょうか。実はSAMYANGのスチールレンズ(マニュアルフォーカス)である「35mm F1.4 AS UMC」と光学性能はまったく同じだそうです。

要は「35mm F1.4 AS UMC」シリーズのF値をT値に表記を変えて、フォーカスリングや絞りリングを滑らかにしたレンズといっても過言ではないはずです。24mm / 35mm / 50mm / 85mm など用意されています。フルサイズでも利用できます。対応マウントもさまざまな種類が用意されています。

「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」の製品特長を引用

このVDSLRバージョンは主に専門的な映画や動画製作者のために作られ、VDSLRバージョンとしての特徴はフォローフォーカスギアとシネマ用絞りで撮影時、音が出ないように絞りを変更し、なめらかにフォーカスを調節できるようにします。このような要素が露出値の激しい変化で中から外に、あるいはカメラ のフェードインのように映画が撮影される時、光源が完全に異なる環境での場面を撮影できるようにもします。Fナンバーが100%直射日光が通る時間を示すならば、Tナンバーは実際の光が透過する量を示します。 35mm T1.5 VDSLR AS UMCは光学的にはサムヤン35mm F1.4 AS UMCと同じです。価格が3倍程度異なるレンズが得ることができる優れた解像度と鮮明度を誇り、価格に比べて優れた性能が特徴です。35mm焦点距離でフルフレームとクロップセンサーによく合い、造景、風景、ジャーナリズム、一般写真を撮影するのに非常に明るい高感度広角レンズで非常に良いです。最近人気のあるAPS-Cセンサー用として使う時も50mm単レンズとして使うこともでき、低い照度で一般的な撮影を楽しむのに非常に優れています。 サムヤン35mmビデオレンズのぼかしは非常になめらかで美しく、人物写真に利用するのに良いです。

SAMYANGシネレンズメーカ製品情報
https://www.samyanglensglobal.com/product/

 

「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」実物をチェック

レンズの重さは700g近くあり、軽いレンズではありません。しかし従来の本当の巨大なシネレンズと比べれば、スチールレンズのように気軽に一眼レフに装着して持ち運べます。まるでスチールレンズです。スチールレンズにギアが付いたモデルです。レンズのボディはプラスチックです。見た目は高級感があります。触ってみると値段なりの安っぽい感じです。作りはしっかりです。EFマウントタイプを購入してMC11でEマウントに変換して使っています。

絞りやフォーカスリングはとても滑らかです。絞りは無段階絞りで、カチカチと音がすることはありません。T値は1.5~22、フォーカスリングにはレンズのピントが合う距離がフィートとメートル表記で印字されています。フォーカスリングを回すと、レンズ自体の長さは変わりませんがレンズが少し前方へ移動します。絞り羽がスムーズに動くのは見ていて気持ちがよいものです。

T1.5ではピントが合えばそれなりに解像しますが収差、フリンジ、ケラレが大きく感じます。ピントの手前には赤、奥には青いフリンジが発生します。

少し絞りT2.0にすることでずいぶんと改善されると感じました。T値を4まで絞るとケラレもなくなり周辺までスッキリとシャープになります。

T1.5 レンズ中央

T2.0 レンズ中央

T2.8 レンズ中央

T4 レンズ中央

T1.5 レンズ周辺

T2 レンズ周辺

T2.8 レンズ周辺

T4 レンズ周辺

T1.5

T2.0

T2.8

T4

 

「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」まとめ感想

シネレンズは、レンズを交換してもレンズごとの描写の違いがないように、同じシネレンズシリーズを使うことや、さまざまな撮影シーンに合わせて正確に絞りやフォーカスを合わせてゆくといった作業に適したレンズだと考えています。

つまり個人で趣味としての撮影なら正確な絞りやフォーカスも必要が無く、マニュアルフォーカスの35mmか50mmのレンズがあれば十分であります。

SAMYANGの格安CINEレンズ「35mm T1.5 VDSLR AS UMC II」を1つ購入したところで、絵コンテがあるわけでもなく正確に絞りやフォーカスなど必要ではなく、T1.5がわかったところで、他のレンズでいろいろと撮影しないため、何も意味がありませんでした。普通のオートフォーカスのズームレンズで十分です。

以上から、映画や映像制作を行う前提であり、レンズの予算をできるだけ抑えたい場合にSAMYANGでシネシリーズを揃えて、撮影するといった場合にはメリットが大きそうです。従来では数百万円のところ、20~30万円でシネレンズを揃えられるのですから。

いつか本物のシネレンズをさわってみたいものです。私と同じようにシネレンズってなんだろう興味があるという人は、価格が安いレンズなのでおすすめです。