中一光学 (ZHONG YI OPTICS) Lens Turbo Ⅱ(レンズターボツー)フォーカルレデューサーアダプターをレビューします。Lens Turbo Ⅱを使うことで、どれだけ画質・画像が劣化するのかを検証しました。購入しようか悩んでいる人は参考にどうぞ。
画質比較の検証は、次の構成で行いました。
○Sony α7R3 + Lens Turbo Ⅱ +35mm T1.5 EFレンズ構成にてAPS-Cで撮影
○Sony α7R3 + MC-11 +35mm T1.5 EFレンズ構成にてフルサイズで撮影
APS-CでLens Turbo Ⅱを使うことでフルサイズ相当になります。フルサイズでLens Turbo Ⅱ無し(マウントアダプターMC-11)で撮影することで、近い画質比較ができます。厳密にいえば画質が変わりますが、概ねLens Turbo Ⅱが画質に及ぼす影響をチェックできます。
フォーカルレデューサーアダプターとは縮小光学系レンズです。APS-Cやマイクロフォーサーズサイズのセンサーを持つカメラは、フルフレーム(フルサイズ)のカメラと比べて装着したレンズの画角が大きくなります。APS-Cに35mmのレンズを装着すれば、レンズの画角が1.5倍となり35mm×1.5=52.5 mmになります。
縮小光学系アダプターを装着することで、光が縮小され画角が0.7倍ぐらいに縮小されます。光がぎゅっと縮小されるので、F値が1段明るくなります。50mm×0.7倍で35mmぐらいになります。つまりAPSでもフルサイズのカメラと同じように、レンズ自体の画角と同じように扱うことができます。Lens Turbo Ⅱのメーカ表記を引用します。
50mmレンズに使用する場合:50mm×1.5(APS-C焦点倍率)×0.726(Lens Turbo焦点倍率)=55mm画角相当
35mmレンズに使用する場合:35mm×1.5(APS-C焦点倍率)×0.726(Lens Turbo焦点倍率)=38mm画角相当
Lens Turbo ⅡはAPS-Cセンサーのカメラに、フルサイズ相当の倍率でフルサイズのレンズを装着できるアダプターです。プロ機材・業務用では、Metabones(メタボーンズ)のSpeed Booster(スピードブースター)が使われます。縮小光学系アダプターの先駆者であり、仕事で使ったり業務で使うならSpeed Boosterです。価格も高くMetabones Speed Boosterは10万円前後です。 Lens Turbo Ⅱはたった2万円前後です。
Lens Turbo Ⅱには電子接点がないので、厳密にいえばカテゴリが違う製品でありますが・・・。以上から仕事で使うならMetabones、個人でちょっとフォーカルレデューサーアダプターで遊びたいなぁと思う人にはLens Turbo Ⅱがお勧めです。遊ぶにしてもLens Turbo Ⅱの性能が気になるところでしょう。解像感や画質・検証を比較してみます。
検証に使用するカメラはSony α 7Rⅲです。レンズは SAMYANG 35mm T1.5 VDSLR AS UMC EFマウントです。Lens Turbo ⅡはEF→Eマウントタイプを使用します。なんでもEFマウントにしてから変換する環境にすれば、いろいろとレンズ資産を共有できるので便利です。
ちなみにフルサイズのカメラ(α 7Rⅲ)では、普通はフォーカルレデューサーアダプターを使いません。ほとんど意味がないからです。レンズが入っていないマウントアダプターを使えばOKです。
Canon EFレンズを使う場合は注意事項があります。Canon EFは電子接点で絞りやフォーカスをコントロールします。電子接点が無い場合はマニュアルで操作できません。電子接点が付いていないLens Turbo Ⅱでは、Canon EFレンズを操作できません。Lens Turbo Ⅱで使用できるのは、絞りやフォーカスがマニュアル動作するものだけです。
各種Amazonから購入できます。
Lens Turbo Ⅱの種類
Lens Turbo Ⅱの種類を説明します。型番からカメラボディマウントとレンズマウントがわかります。例「EF-NEX」なら、EFマウントレンズをNEX(Sony Eマウント)に装着できるアダプタということです。
NEXとは、昔のSonyのシリーズではNEXが使われていまして、現在でもAPS-C系のSony Eマウントカメラの対応にNEXが使われることもあります。同じEマウントのことです。
Lens Turbo Ⅱは、Sony Eマウント(NEX)、マイクロフォーサーズ(m4/3)、Fujifilm Xマウント(FX)に対応しています。主要のミラーレスカメラで使えますね。
Lens Turbo Ⅱ EF-NEX
Lens Turbo Ⅱ N/G-NEX
Lens Turbo Ⅱ FD-NEX
Lens Turbo Ⅱ C/Y-NEX
Lens Turbo Ⅱ MD-NEX
Lens Turbo Ⅱ PK-NEX
Lens Turbo Ⅱ M42-NEX
Lens Turbo Ⅱ EF-m4/3
Lens Turbo Ⅱ N/G-m4/3
Lens Turbo Ⅱ M42-m4/3
Lens Turbo Ⅱ FD-m4/3
Lens Turbo Ⅱ MD-m4/3
Lens Turbo Ⅱ EF-FX
Lens Turbo Ⅱ N/G-FX
Lens Turbo Ⅱ M42-FX
より詳しくはメーカサイト参照
http://www.zyoptics.jp/products/2016/07/lens-turbo-ef-nex.php
Lens Turbo Ⅱの外観チェックと装着方法
Lens Turbo Ⅱの外観をチェックします。型番やブランド名がいっぱい印刷されていて残念な感じです。まあ安いから。
アダプターの中に光を縮小するレンズが入っています。
カメラ側のレンズは出っ張った四角窓になっています。
レンズがギリギリまで出ているので、傷がつかないように注意です。
ロックするとピンがハマるようになっています。
通常通りレンズに装着します。
回すとピンがカチっとはまりロックされます。外すときはピンを押しながら反対に回します。
カメラマウント側への装着は、少し変わっています。位置を確認して装着します。
装着したあとにリングを回すことでロックされます。このリングを回し忘れると、ポロっとレンズが落ちますので要注意。
装着完成です。Lens Turbo ⅡとMC-11(レンズなしのEF→Eマウントアダプタ)で撮影して比較します。
Lens Turbo Ⅱの静止画比較
基本的にLens Turbo Ⅱを利用するときは、動画の場合が多いかなと思いつつ、まず評価しやすい静止画から比較テストします。結論としてLens Turbo Ⅱを使うと画質が低下します。当然余分なレンズ増える分けですから当たり前です。ある程度、絞ると画質の低下はほとんどわからなくなります。ピクセルは等倍で比較しています。
SAMYANG 35mm T1.5 VDSLR AS UMCの開放はT1.5で被写界深度も狭いです。さらにLens Turbo Ⅱを使うことで、まともに撮影できなくなります。開放では大きく画質が低下すると思えば良いでしょう。中央も周辺も解像感が大きく落ちます。
Lens Turbo Ⅱ有:T1.5とT5.6で中央と端の画質を比較
Lens Turbo Ⅱ有りT1.5中央
開放では解像感が得られません。ピントがズレているように見えますが、そうではありません。
Lens Turbo Ⅱ有りT5.6中央 T5.6まで絞ると解像感がしっかりと出ます。
Lens Turbo Ⅱ無し:T1.5とT5.6で中央と端の画質を比較
Lens Turbo Ⅱ無しT1.5中央、Lens Turbo Ⅱ有りT1.5と比べると、明らかに画質が良いです。
Lens Turbo Ⅱ無しT5.6中央、T5.6になるとLens Turbo Ⅱ有りと、ほとんど画質が変わりません。
Lens Turbo Ⅱ無しT1.5端、Lens Turbo Ⅱ有りT1.5と比べると周辺もずっと解像度が良いです。
Lens Turbo Ⅱの動画比較
次は動画の比較です。動画は解像度を同じになるようにサイズを調整しています。Lens Turbo Ⅱを使うと、動画でも同じ傾向が見られました。開放では解像度が落ちます。そして1段明るくなります。
Lens Turbo Ⅱという余分なレンズが加わることで、レンズ全体を使う開放では画質が著しく低下するのでしょう。絞ることで画質が向上するのは通常のレンズと同じです。開放ではレンズ中央も周辺もひどいものです。ただ開放絞り値の大きいレンズを使うなら、もしかしたら気にならないかもしれません。
今回はフルフレームレンズのT1.5という開放絞り値の小さいレンズで比較しました。そのためレンズの性能差が大きく出てしまったのかもしれません。最小絞りがF4ぐらいのAPS-Cレンズなら、画質の劣化は気にならない可能性があります。とはいえ、レンズの性能が低下するのは確かです。APS-Cで遊びで使うなら、フルフレームのレンズも装着できるので楽しいはずです。