Sony全画素超解像ズームの劣化を検証。そしてSony α7Rⅲにて全画素超解像ズームの使い方を考える。

  1. 6668 view

α7Rⅲの全画素超解像ズームの使い方を考えてみました。多くのSony製のカメラに全画素超解像ズーム機能が搭載されています。全画素超解像ズームは「画質はほとんど劣化しない」ことが特徴です。この「ほとんど」が曲者で、実際には少し劣化するのです。どのくらい劣化をするか検証してみました。ほとんど劣化せず拡大できる性能はなかなか素晴らしいものです。

全画素超解像ズームは、静止画像でも動画でも使えることが魅力ですが、静止画の場合はRAW撮影ができなくなります。JPEG出しのみの時に全画素超解像ズームが使えます。RAWが得られないスチール撮影なんてスマートフォンの撮影となんら変わらないでしょう。

静止画撮影なら全画素超解像ズーム機能などを使わずに、標準や望遠レンズやズームレンズを使ってRAWで撮影したほうよいです。以上から正直なところスチール撮影では不要な機能です。

動画の場合はどうでしょうか。4K動画撮影時にフルサイズからAPS-Cモードに切り替えれば1.5倍の画角にズームできます。APS-Cモードへの切り替えなら画像の劣化はありません。むしろ解像力だけで言えばフルサイズの4Kよりシャープな映像になります。つまり動画においてもフルサイズ時に1.5倍の全画素超解像ズームは利用するメリットがありません。また同様に標準や望遠レンズやズームレンズを使える場合は、全画素超解像ズームを使わずにフルサイズとAPS-Cモードをうまく切り替え組み合わせて利用できれば良さそうです。もちろん全画素超解像ズームで簡単に倍率を切り替えられるメリットは大きいでしょう。

だんだんと全画素超解像ズームの使い方が見えてきました。全画素超解像ズームの倍率は動画の場合は1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍から選べます。この「1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍」という微妙な倍率を選択できることが魅力ではないでしょうか。

標準や望遠レンズやズームレンズが豊富に用意されていないレンズの場合(例えばフィッシュアイレンズ、オールドレンズなど)に微妙なケラレを改善できそうです。APS-Cだと大きくレンズ周辺がクロップされてしまいます。そこで低倍率でクロップ範囲を調整しながら撮影できます。オールドレンズなど開放まで絞るとケラレが大きく、気になる場合など使えます。フィッシュアイレンズでも円周魚眼でもっと円周をほどよく大きく映したい時にも役立つでしょう。

 

Sony α7Rⅲの全画素超解像ズームはどれだけ劣化するのか

ほぼ劣化しない全画素超解像ズームの「画質はほとんど劣化しない」の「ほとんど」はどれくらいか検証してみました。まず静止画像で比較します。結果としては、少しだけ解像力が落ちることと、JPEGの圧縮ノイズのようなものが見えました。しかしながら拡大しなければ見分けは困難ですので、「画質は(拡大しない限りは)ほとんど劣化しない(ように見えるはず)」という結論です。

撮影方法はズームなし、ズーム1.5倍/2.0倍は同じ画角に見えるように対象へ近づいて撮影しました。他の影響が少ないように全画素超解像ズームの差がわかる撮影で比較しました。元画像はこんな感じで、この一部を拡大したものが上の図です。

動画も同様に比較です。APS-C 4Kで通常と1.5倍で撮影しました。左側が通常、右側が1.5倍です。こちら100%での比較。

 

こちら200%の比較。やはり同じく少しだけ解像力が落ちることと、JPEGの圧縮ノイズっぽいものが見られます。

 

4K動画の比較はこちらです。拡大して比べなければ、まったくわかりません。1.5倍でも違いがまったく分からないので、1.1倍や1.2倍は「ほとんど」画像の劣化なしといえるでしょう。

以上から、Sony全画素超解像技術(スーパーレゾリューション)は、動画ではなかなか使えるのではないでしょうか。